ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―


 最初のうちはエミが部屋に入ってくることすらも渋っていたディルだったが、結局エミのごり押しに負け、甲斐甲斐しい世話を受けることになった。

「はい、どーぞ☆ 身体が温まるスープだよ。あーんして?」

 スープがなみなみに入ったスプーンを差し出され、ディルは眉間に皺をよせる。

「自分で飲める」
「ダメだよ。ディルは放っておいたらご飯食べないもん。ここはあたしが、無理にでも食べさせまーす!」

 そう宣言して、エミはディルにスプーンをぐいぐいと押しつける。しばらく押し問答をしたふたりだったが、結局ディルが折れて、エミの差し出したスプーンに口をつけた。

「……私の世話など、お前がすることではない。メイドや召使いに任せて、お前は部屋に戻ってもいいんだぞ」

 苦々しくディルがそう告げると、エミはスープをくるくるとかき混ぜながら、困ったような顔をする。

「部屋に戻ってもディルが気になっちゃうから、できるだけここにいたいなぁ……。ダメかな?」
「ぐっ、今日も健気で可愛すぎる……」
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