ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
 「聖女」は不思議な存在であり、世界を変えるほどの強い魔力を持つ少女たちであった。そして、聖女たちは幾度も王国を救ってきたのだ。

 そして、ビュジ歴5719年の葡萄月――、前回の災いから99年経ち、災いがまた王国を襲った。

 フォーランシュ大陸の北方にあるハド共和国が、サンクトハノーシュ王国に宣戦布告したのだ。

 宣戦布告の理由は、「サンクトハノーシュの外交官の肩が、ハド国の兵士の肩にうっかりぶつかったから」というものだった。ほとんどいちゃもんだ。
 もちろん、サンクトハノーシュの王は大いに混乱した。

 曰く、「こんなん防ぎようがない」と。

 しかも、困ったことに500年にわたり周辺諸国と良好な関係を作り上げ、平和を享受してきたサンクトハノーシュ王国は軍備がほとんどなかった。
 一方、ハド共和国は戦いにおいて圧倒的に有利だった。半世紀前に大量の魔鉱石が採掘される谷が見つかったことで、ハド共和国は財政的に潤っていたのだ。そこで、ハド共和国は密かに軍隊に多くの予算を投資し続けていた。
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