ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「……なに? 丁重にもてなしているつもりだ。衣食住は過不足なく提供している。聖女には何一つ不自由はさせていない」
「そういうことではありません。今のディル様は、エミ様と職務の間にお茶をするくらついの交流しかないではありませんか。お二人は婚約されているのですから、例えば、もっとこう、恋人のような時間をですな……」
「恋人のような時間?」
「そうです! 恋人のような時間を持つべきです!」
セバスチャンは、怯えつつも勇気を振り絞って訴える。エミが愛想を尽かして王都に帰ると言い始めるのでは、という不安で夜も眠れない日々が続いているからだ。彼は小心者ゆえに気苦労が絶えないのである。
ディルは訝しげな顔をして、顎に指をあてた。
「恋人のような……?」
「そ、そうですとも! もっと仲を深めるために、親交を持つべきでしょう」
「ふむ。確かに、一理あるな」
「ああ、なんと! この国の賢人たるディル様が、この老いぼれめの諫言に耳を貸してくださるなど、あり難き幸せにござ……」
「では、今夜にでも夜伽を命じよう。今晩、私の寝室に聖女を連れてこい」
「ンエッ!!!???」
突然の一言に、手に持った本を全て落とし、セバスチャンは奇妙な声を出して固まる。この国随一の頭脳が、どうやらとんでもないことを思いついてしまったらしいと、彼は遅れて気が付いた。
「そういうことではありません。今のディル様は、エミ様と職務の間にお茶をするくらついの交流しかないではありませんか。お二人は婚約されているのですから、例えば、もっとこう、恋人のような時間をですな……」
「恋人のような時間?」
「そうです! 恋人のような時間を持つべきです!」
セバスチャンは、怯えつつも勇気を振り絞って訴える。エミが愛想を尽かして王都に帰ると言い始めるのでは、という不安で夜も眠れない日々が続いているからだ。彼は小心者ゆえに気苦労が絶えないのである。
ディルは訝しげな顔をして、顎に指をあてた。
「恋人のような……?」
「そ、そうですとも! もっと仲を深めるために、親交を持つべきでしょう」
「ふむ。確かに、一理あるな」
「ああ、なんと! この国の賢人たるディル様が、この老いぼれめの諫言に耳を貸してくださるなど、あり難き幸せにござ……」
「では、今夜にでも夜伽を命じよう。今晩、私の寝室に聖女を連れてこい」
「ンエッ!!!???」
突然の一言に、手に持った本を全て落とし、セバスチャンは奇妙な声を出して固まる。この国随一の頭脳が、どうやらとんでもないことを思いついてしまったらしいと、彼は遅れて気が付いた。