ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
セバスチャンの失言で一気に気まずい雰囲気になった書斎に軽やかなノックの音が響いた。ディルが短く「入れ」と命じる。
ティーワゴンとともに騒々しくエミが部屋に入ってきた。
「はいはいはーい! エミたそがおやつ持ってきたよぉ! 今日はマドレーヌでぇ、……ってどうしたの? 二人とも顔がなんか怖いんですけど! スマイル大事よ~?」
「え、エミ様……。実は今、ご主人様と少々込み入った話をしておりまして……」
「あ、そーなの? 出直したほうが良い感じ?」
「で、できれば――……」
お願いします、とセバスチャンが言い切る前に、ディルが口を開く。
「聖女よ、問おう。私との夜伽を命じたところで、お前は応じるか?」
「でぃ、ディル様ッ!」
あまりに単刀直入でぶしつけな質問に、セバスチャンは泣きそうになった。
「婚約破棄」、「離職者急増」、「仕事倍増」、という嫌な言葉が次々とセバスチャンの脳裏に浮かんでは消えていく。
(ああ、この一言でエミ様のディル様に対しての好感度は地の底に……。天使のごとく優しい聖女様のいるこの生活も、これで終わってしまう……。嗚呼、これから先どうやってこの屋敷を盛り立てていけばいいのだ……)
ティーワゴンとともに騒々しくエミが部屋に入ってきた。
「はいはいはーい! エミたそがおやつ持ってきたよぉ! 今日はマドレーヌでぇ、……ってどうしたの? 二人とも顔がなんか怖いんですけど! スマイル大事よ~?」
「え、エミ様……。実は今、ご主人様と少々込み入った話をしておりまして……」
「あ、そーなの? 出直したほうが良い感じ?」
「で、できれば――……」
お願いします、とセバスチャンが言い切る前に、ディルが口を開く。
「聖女よ、問おう。私との夜伽を命じたところで、お前は応じるか?」
「でぃ、ディル様ッ!」
あまりに単刀直入でぶしつけな質問に、セバスチャンは泣きそうになった。
「婚約破棄」、「離職者急増」、「仕事倍増」、という嫌な言葉が次々とセバスチャンの脳裏に浮かんでは消えていく。
(ああ、この一言でエミ様のディル様に対しての好感度は地の底に……。天使のごとく優しい聖女様のいるこの生活も、これで終わってしまう……。嗚呼、これから先どうやってこの屋敷を盛り立てていけばいいのだ……)