ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
 意外なほどあっさりと日常の会話が繰り広げられていく。先ほどディルから発せられた異常な命令など、まるでなかったかのように。

 セバスチャンはぽかん、と口を開いた。

(絶対にエミ様は夜伽などを命じられれば嫌がられると思っていたのに、あんなにもあっさり頷かれるなんて……。もしかして、異世界は性に奔放なのか? それならば、文化の違い……? いや、しかしエミ様は意外と常識はあるお方のような……)

 セバスチャンが混乱している間にも、エミとディルはいつも通りだった。エミが楽しそうに異世界についての話をしているのを、ディルは無表情のまま淡々と頷き、時々何の面白みもない質問する。

 そして、拍子抜けするほどにあっさりとおやつの時間は定時に終了した。
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