ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
ディルは必死に訴える。しかし、ディルの抵抗を無視してエミはディルの唇についばむようなキスをして、抱きしめる腕に力をこめた。ディルの眉間にますます皺が寄る。
「や、やめろ、やめてくれ……」
「ほんとダイジョーブ、続けてもいーよ!……だって、男の人ってこーゆーこと途中でやめるのって大変なんでしょ? サクぴが持ってる恋愛小説にもそう書いてあったし」
「……もう一人の聖女はなんてモノを読んでいるんだ! ああ、やめろ、……胸を押し当てるな! 触りたくなるだろう!」
「触ってもいいよ? あたし、我慢するから……!」
「いや、別に――」
いい、と言いかけたところで、ディルは口をつぐむ。ディルを上目遣いで見つめるエミが、あまりに思い詰めた顔をしていたからだ。
「お、お前、なんて顔……」
「あたし、ホント痛いの我慢できるよ……? ちゃんと、いい子にするから……」
エミの笑顔がだんだん歪んでいき、ぽろりと、瞳から大粒の涙があふれだした。ディルは呆気にとられる。涙はあとからあとからこぼれ、時々月の光に反射してキラキラ光ってエミの手の甲にぽたりと落ちていった。
ディルは慌ててエミの涙をぬぐう。
「や、やめろ、やめてくれ……」
「ほんとダイジョーブ、続けてもいーよ!……だって、男の人ってこーゆーこと途中でやめるのって大変なんでしょ? サクぴが持ってる恋愛小説にもそう書いてあったし」
「……もう一人の聖女はなんてモノを読んでいるんだ! ああ、やめろ、……胸を押し当てるな! 触りたくなるだろう!」
「触ってもいいよ? あたし、我慢するから……!」
「いや、別に――」
いい、と言いかけたところで、ディルは口をつぐむ。ディルを上目遣いで見つめるエミが、あまりに思い詰めた顔をしていたからだ。
「お、お前、なんて顔……」
「あたし、ホント痛いの我慢できるよ……? ちゃんと、いい子にするから……」
エミの笑顔がだんだん歪んでいき、ぽろりと、瞳から大粒の涙があふれだした。ディルは呆気にとられる。涙はあとからあとからこぼれ、時々月の光に反射してキラキラ光ってエミの手の甲にぽたりと落ちていった。
ディルは慌ててエミの涙をぬぐう。