ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
◇◆

 一方のディルはというと、自室のベッドルームに駆け込んでいた。ディルはドアを閉めた瞬間、荒々しい息を吐く。
 あのまま再びエミの潤んだ瞳に見つめられれば、再度理性を失ってしまう可能性があった。

「は、初めてで、……あんなっ……」

 脳裏にエミの細い肢体を思い浮かべ、たまらずディルは自らを慰める。長い間我慢を強いられ、痛いほどに張り詰めている。一度とりあえず達したものの、興奮は治まりそうにない。

「ああ、クソッ……」

 毒づきながら、ディルは再び自らを上下にこすり始める。なにもかもが熱い。あまりの快感に、ディルはめまいを感じた。
 こんなにも自分が欲情に振り回されるのは初めてで、ディルは混乱する。まったくもって、どうしてこうなったのかが分からない。

 結局、ディルは自らの昂りを鎮めるのに一晩中かかる破目になり、夜明けにようやく床に倒れこむようにして眠りについたのだった。
< 77 / 392 >

この作品をシェア

pagetop