ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「ええーっ、伯爵様が表情豊かですか? あの伯爵様が? そんなことないと思いますけれど」
赤髪のメイドの一言に、リネン室にいたメイドたちが神妙な顔で頷いた。
そもそも、メイドたちに対してディルが向ける表情はほとんど同じ。整いすぎた顔には、近寄り辛い無表情張り付いているのみである。たまに機嫌が悪い時には眉間に皺が寄るが、それくらいの違いしかない。そのため、気難しい主人が「表情豊か」と評されることに釈然としない様子だ。
「あまり気を落とさないでくださいな。そもそも、あの伯爵様が冷たくてよそよそしいのは通常運転じゃありませんか」
「あの氷のようなお心を持った伯爵様のことですから、お忙しさでぼんやりされているだけですわ。そこまで深い意味はないと思います」
「そうそう。最近お手紙をやりとりされている数もぐんと増えましたから、そのせいだと思うのです。王宮からの手紙がくると、伯爵様の機嫌っていつも最悪になるんですよねえ」
「王宮からの手紙を伯爵様に渡す役割だけは、たいていじゃんけんで決めますもんね。誰もやりたがらないから」
赤髪のメイドの一言に、リネン室にいたメイドたちが神妙な顔で頷いた。
そもそも、メイドたちに対してディルが向ける表情はほとんど同じ。整いすぎた顔には、近寄り辛い無表情張り付いているのみである。たまに機嫌が悪い時には眉間に皺が寄るが、それくらいの違いしかない。そのため、気難しい主人が「表情豊か」と評されることに釈然としない様子だ。
「あまり気を落とさないでくださいな。そもそも、あの伯爵様が冷たくてよそよそしいのは通常運転じゃありませんか」
「あの氷のようなお心を持った伯爵様のことですから、お忙しさでぼんやりされているだけですわ。そこまで深い意味はないと思います」
「そうそう。最近お手紙をやりとりされている数もぐんと増えましたから、そのせいだと思うのです。王宮からの手紙がくると、伯爵様の機嫌っていつも最悪になるんですよねえ」
「王宮からの手紙を伯爵様に渡す役割だけは、たいていじゃんけんで決めますもんね。誰もやりたがらないから」