ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「ええっ、ご主人様の態度が冷たいのなんていつものことじゃないですか。まったく、あの方はもっとエミ様に優しくすべきだと何度も申し上げているのに! 政治に関しては大変優秀なお方だとは聞いているけれど、レディの扱いは最低ですわ!」
「はいはいはい、メアちん、おこぷんダメ~! それより、なんでリネン室に来たの? なにか用事があったんじゃないの?」
「ああっ、そうでした。伯爵様より今すぐ書斎に来るようにと伝言を……」
「ええっ、ハクシャクがあたし呼ぶとか貴重すぎるんですけど! ヤバ、化粧とか大丈夫? さっきこすっちゃったから、目の下のメイク落ちちゃった気がするう……」
「あらあら、エミ様はいつも通り可愛らしいですわよ」
「え~ん、あざまるぅ♡ ま、彼ぴが会いたいって言ってくれてるときに、化粧直してる場合じゃないよね。すぐ行く~!」
エミは顔をぱあっと輝かせて弾む足で書斎へ向かう。あっという間に去っていくエミの背中を、メアリーは微笑ましく見守ったあと、大きなため息をついた。
「健気な聖女様に愛されて、伯爵様は幸せ者ですわ。あの冷血伯爵ったら、もっとそこらへん自覚してくださらないと……」
メアリーがぽつりと呟いた途端、ハクシュン、と誰かの良く響く低音のくしゃみが屋敷のどこかで響き渡った。
「はいはいはい、メアちん、おこぷんダメ~! それより、なんでリネン室に来たの? なにか用事があったんじゃないの?」
「ああっ、そうでした。伯爵様より今すぐ書斎に来るようにと伝言を……」
「ええっ、ハクシャクがあたし呼ぶとか貴重すぎるんですけど! ヤバ、化粧とか大丈夫? さっきこすっちゃったから、目の下のメイク落ちちゃった気がするう……」
「あらあら、エミ様はいつも通り可愛らしいですわよ」
「え~ん、あざまるぅ♡ ま、彼ぴが会いたいって言ってくれてるときに、化粧直してる場合じゃないよね。すぐ行く~!」
エミは顔をぱあっと輝かせて弾む足で書斎へ向かう。あっという間に去っていくエミの背中を、メアリーは微笑ましく見守ったあと、大きなため息をついた。
「健気な聖女様に愛されて、伯爵様は幸せ者ですわ。あの冷血伯爵ったら、もっとそこらへん自覚してくださらないと……」
メアリーがぽつりと呟いた途端、ハクシュン、と誰かの良く響く低音のくしゃみが屋敷のどこかで響き渡った。