ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
ススス、とセバスチャンは結婚式関係の書類をディルの机の真ん中にさりげなぬスライドさせた。あえて見ないふりをしていた書類の山を前に、ディルは低く唸る。
「……結婚式とは、やることが多いものなのだな」
「結婚式のことに関しては、エミ様とよくお話し合いをされるべきかと。まあ、プロポーズが先ですが」
「……それくらい、分かっている。しかし、なんだかあの聖女を前にすると、こう、心臓がふわふわするのだ」
「ふわふわ、ですか」
大の男が口にするにはいささか可愛らしすぎる言葉を、セバスチャンは反芻する。ディルは苦々しい顔で頷いた。
頭で分かっては、いるのだ。
聖女エミとの結婚式を急ぐといったのは、他でもないディル自身である。そのため、なるだけ早く結婚式のための準備を着手すべきなのだ。やることは山ほどある。
しかし、1週間前に一緒に夜を過ごしてから、ディルは自分の心臓がまるで自分のものでないような感覚に陥っている。エミを目の前にするとドギマギして、全く話せなくなってしまうのだ。眼など合わせようものなら、さらに呼吸まで荒くなってしまう。
「……結婚式とは、やることが多いものなのだな」
「結婚式のことに関しては、エミ様とよくお話し合いをされるべきかと。まあ、プロポーズが先ですが」
「……それくらい、分かっている。しかし、なんだかあの聖女を前にすると、こう、心臓がふわふわするのだ」
「ふわふわ、ですか」
大の男が口にするにはいささか可愛らしすぎる言葉を、セバスチャンは反芻する。ディルは苦々しい顔で頷いた。
頭で分かっては、いるのだ。
聖女エミとの結婚式を急ぐといったのは、他でもないディル自身である。そのため、なるだけ早く結婚式のための準備を着手すべきなのだ。やることは山ほどある。
しかし、1週間前に一緒に夜を過ごしてから、ディルは自分の心臓がまるで自分のものでないような感覚に陥っている。エミを目の前にするとドギマギして、全く話せなくなってしまうのだ。眼など合わせようものなら、さらに呼吸まで荒くなってしまう。