ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「ヒェッ、出過ぎたことを申しました。し、しかしですなあ、なにかお困りごとがあれば、素直にエミ様にご相談なさればよいのでは……」
「できるならやっている!」
ガン、と拳で机をたたくディルに、セバスチャンは震え上がる。最近主人が情緒不安定過ぎて怖い。
セバスチャンは最近のディルの不機嫌の理由が恋煩いだと全く気付いていなかった。それどころか、ディルが恋煩いを発症しているとはこの屋敷の誰も気づいていない。まあ本人すら、気付いているか怪しい。
当の本人は、セバスチャンに向かって何やら胸を張っている。
「まあ、こんな状況に甘んじる私ではない。今日は秘策を用意している」
「さっ、左様ですか……」
セバスチャンはとりあえず頷いたものの、(秘策とは、大丈夫なタイプの策なんだろうか)と内心ヒヤヒヤしている。しかし、これ以上ディルに怒られたくないセバスチャンは、迂闊なことは言うまいと必死で口を閉ざした。
不穏な沈黙がしばらく続いたものの、その沈黙は軽やかな足音によって破られた。エミがようやくディルの書斎に来たのだ。とんとん、とノックする音のあとに、エミが書斎に入ってくる。
「できるならやっている!」
ガン、と拳で机をたたくディルに、セバスチャンは震え上がる。最近主人が情緒不安定過ぎて怖い。
セバスチャンは最近のディルの不機嫌の理由が恋煩いだと全く気付いていなかった。それどころか、ディルが恋煩いを発症しているとはこの屋敷の誰も気づいていない。まあ本人すら、気付いているか怪しい。
当の本人は、セバスチャンに向かって何やら胸を張っている。
「まあ、こんな状況に甘んじる私ではない。今日は秘策を用意している」
「さっ、左様ですか……」
セバスチャンはとりあえず頷いたものの、(秘策とは、大丈夫なタイプの策なんだろうか)と内心ヒヤヒヤしている。しかし、これ以上ディルに怒られたくないセバスチャンは、迂闊なことは言うまいと必死で口を閉ざした。
不穏な沈黙がしばらく続いたものの、その沈黙は軽やかな足音によって破られた。エミがようやくディルの書斎に来たのだ。とんとん、とノックする音のあとに、エミが書斎に入ってくる。