ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
 忙しい中、『タピオカ』なる異世界の食べ物を探すのには大変苦労したものの、エミがここまで喜ぶのであればその甲斐もあったというものだ。むしろ、あの笑顔のためならディルはなんだってやる覚悟でいた。
 部屋の外でエミを待って待機していたメアリーに、「聖女と街へ出る。馬車の準備を」と伝えた時に、

「どうしてそんな大事なことを早く言わないのですか! 思い立ったらすぐ行動に移せる男性とは違って、女性は外出する際に準備することが山ほどあるんですよ!」

 と、盛大に説教を食らうトラブルはあったものの、二人はすぐに屋敷を発った。

 馬車の中で、はしゃいだエミが車窓のドアを開けて歓声をあげる。秋の涼しい風がエミの金髪を揺らした

「街に行くのって超久しぶりなんですけど! バイブス上がりすぎてヤバい! 外の空気サイコー!」
「聖女、危ないから窓から顔を出すな。……っておい、太ももが見えているぞ! 足を冷やしたらどうするんだ!」
「ハクシャクってばめっちゃ過保護~♡」

 はしゃぐエミに、ディルはあきれたようなため息をついて応酬する。
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