ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「フン。そんな短いスカートでは、ガシュバイフェンの冬は越せないぞ。川は凍り付き、雪は少なくとも私の腰まで積もる。サンクトハノーシュ王国の中でも、ここは冬が厳しい地域なのだ」
「ギャルのファッションは気合と根性だから、寒さには負けませ~ん♡」
「どんな屁理屈だ、それは!」

 ディルはついに車窓から身を乗り出そうとしたエミの首根っこを掴んで座らせると、着ていたコートを脱いで渡す。エミはまだ温もりの残るコートを大事そうに胸に抱いてはにかんだ。

「えへへ、なんかめっちゃデートっぽいことしてるねえ♡」
「……そうなのか?」
「うーん、そうなんじゃない? あたしもよくわかんない! 実はデートするの、初めてなんだ♡ あたし、すごいはしゃいじゃってる」
「……なんだ、第一王子と外に出かけることはなかったのか?」
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