ギャルは聖女で世界を救う! ―王子に婚約破棄されたけど、天才伯爵に溺愛されて幸せなのでおけまるです!―
「今しがた第一王子様にご紹介に与りました、アレキセーヌ・フォン・ボリタリアと申します。どうぞお見知りおきを。以後よろしくお願いいたしますわ。……ああ、もっとも、聖女エミ様にはよろしくしていただかなくても結構でしてよ」

 エミに対する露骨な敵意に、当事者であるエミよりも先にサクラが腹を立てた。サクラにとって、エミは大事な親友だ。そして、彼女は親友を傷つけられるようなことを言われて、黙っているほど大人しい性格はしていない。
 サクラは立ち上がってキッとアレキセーヌを睨みつけた。

「危険かどうかはともかく、エミたそはこの国の救世主なんですよ! それなのに、アレキセーヌさんのその態度、失礼過ぎると思うんですが!」
「きゃっ、怖い。どうしてエミ様ではなく、全く関係のないサクラ様が怒るんですか? わたくし、第二王子のロイ様の婚約者であるサクラ様とは、今後のために仲良くしたいと思っていますのにぃ……」

 アレキセーヌは、ふるふると震えながら、碧眼を潤ませる。そんなアレキセーヌを、エリックは優しく抱きしめ、責めるような目でサクラを見る。
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