成長した年下王子は逃げたい年上妻を陥落させる
リシャールは淡々と告げる。
「貴女が離縁を望んでいると、セバスチャンが報告してくれましたよ」
「せ、セバスチャンが……!?」
思わぬ裏切りに、コルネリアはショックを受ける。
リシャールは小さく息を吐いた。
「セバスチャンを責めないでください。彼は、コルネリアのことを思って俺に教えてくれたんです。エツスタンに帰ってきて、貴女が妙に他人行儀な態度をとるから、ずっと不思議だったのです。まあ、理由を聞いて納得しました」
「…………」
「彼に教えてもらわなければ、俺は貴女の気持ちなんて絶対気付かなかった。久しぶりに会えたことが嬉しくて、ずっとひとりで舞い上がっていた俺が馬鹿みたいだ」
「り、リシャール様、わたくしは、貴方の幸せを思って……」
「そんなこと、貴女に決められたくない!」
リシャールはコルネリアの言葉をぴしゃりと遮る。冷たく暗々としたアイスブルーの瞳には、隠し切れない孤独が滲んでいる。
「……貴女は、俺への態度は主人に対する家臣のように仰々しく敬っているのに、心のどこかでは、まだ俺のことを雷に怯えて泣く子供だと思っているんでしょう。だから、他の女を俺に勧めるような真似をする」
リシャールはペロリと唇を舐めた。その仕草が、その声が、明確な官能の響きを孕んでいるのを肌で感じたコルネリアは、本能的に逃げようと身体をよじった。しかし、あっという間に頭の上で両手首をまとめて掴まれてしまい、身動きが取れなくなる。
「少しずつ陥落させるつもりでしたが、気が変わりました。……貴女が『仮初の妻』なんかじゃないことを、分からせてやる」
「貴女が離縁を望んでいると、セバスチャンが報告してくれましたよ」
「せ、セバスチャンが……!?」
思わぬ裏切りに、コルネリアはショックを受ける。
リシャールは小さく息を吐いた。
「セバスチャンを責めないでください。彼は、コルネリアのことを思って俺に教えてくれたんです。エツスタンに帰ってきて、貴女が妙に他人行儀な態度をとるから、ずっと不思議だったのです。まあ、理由を聞いて納得しました」
「…………」
「彼に教えてもらわなければ、俺は貴女の気持ちなんて絶対気付かなかった。久しぶりに会えたことが嬉しくて、ずっとひとりで舞い上がっていた俺が馬鹿みたいだ」
「り、リシャール様、わたくしは、貴方の幸せを思って……」
「そんなこと、貴女に決められたくない!」
リシャールはコルネリアの言葉をぴしゃりと遮る。冷たく暗々としたアイスブルーの瞳には、隠し切れない孤独が滲んでいる。
「……貴女は、俺への態度は主人に対する家臣のように仰々しく敬っているのに、心のどこかでは、まだ俺のことを雷に怯えて泣く子供だと思っているんでしょう。だから、他の女を俺に勧めるような真似をする」
リシャールはペロリと唇を舐めた。その仕草が、その声が、明確な官能の響きを孕んでいるのを肌で感じたコルネリアは、本能的に逃げようと身体をよじった。しかし、あっという間に頭の上で両手首をまとめて掴まれてしまい、身動きが取れなくなる。
「少しずつ陥落させるつもりでしたが、気が変わりました。……貴女が『仮初の妻』なんかじゃないことを、分からせてやる」