成長した年下王子は逃げたい年上妻を陥落させる
「……こういう時まで、貴女は人の心配をする。まったく、本当に……」

 リシャールはコルネリアの唇を奪い、舌を絡めた。舌を絡めるたびに、一瞬隘路の強ばりが緩み、その隙をぬってリシャールは何度も腰を打ち付ける。自分の形を教えこむように、何度も、何度も。

「り、リシャール、様っ……」
「その呼び方イヤだ……ッ! 昔みたいに、リシャールって呼んで……」
「りしゃー、る……リシャール……ああっ……」
「うん、そう……。そうやって呼んでほしかった……」

 昔のように呼ばれ、リシャール自身がコルネリアの中でさらに大きくなる。コルネリアが甲高い悲鳴のような嬌声をあげても、彼は己の行為を止めない。いや、止められなかった。

「……まったく、自分が嫌になります。俺は、いつも俺のことばかり考えてしまうのに……。貴女がほしいと、そればかりで頭をいっぱいにさせているのに……」

 コルネリアは違う。リシャールのためと、自ら築き上げた地位と名声をあっさりと彼に捧げ、何の見返りを求めることなく、どこぞの田舎に消えようとしていた。
 
「出会ったころの約束なんて、すっかり忘れていたと思ってたのに! どうしてそんな、っ……妙に律儀なんだよっ……!」
「ああっ……! りしゃー、る……!」

 コルネリアの秘裂が、きゅうきゅうと締め付けてうねる。どちらからともなく交わされる唇の交歓が、二人を悦楽の渦に巻き込んでいく。
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