成長した年下王子は逃げたい年上妻を陥落させる
「コルネリア様は、こういう時だけすごく頑固です」
サーシャは不服そうに頬を膨らます。コルネリアは困った顔をした。
「これは当然の決断よ。本当に可哀想なリシャール。政略結婚で、わたくしなんかとの結婚を勝手に決められて。でも、これからはリシャールも好きに生きてほしいわ。好きな人と恋に落ちて、子供だって……」
一抹の寂しさが、コルネリアの胸をかすめた。長らく会っていないけれど、昔と変わらず弟のように大事に思っているリシャールと別れるのはつらい。
しかし、コルネリアは(リシャールの幸せのためよ)と、己の甘さを叱るのだった。
「ねえ、サーシャ。この話はおしまいにしましょう。この城の主人を迎える準備をしなくてはね。可愛いリシャール坊やがせっかく帰ってくるんだもの」
コルネリアは、胸の中の寂しさを追い払うように立ち上がる。何か気がかりなことがあった時は、実務的な仕事をして気を紛らわせるのが彼女のいつものやり方だった。
現に、この城の主を迎えるためにいくつか最終確認をしなければならないことがある。サーシャの手を借りて着替え終わった今、ぼんやりしている暇はない。
サーシャは不服そうに頬を膨らます。コルネリアは困った顔をした。
「これは当然の決断よ。本当に可哀想なリシャール。政略結婚で、わたくしなんかとの結婚を勝手に決められて。でも、これからはリシャールも好きに生きてほしいわ。好きな人と恋に落ちて、子供だって……」
一抹の寂しさが、コルネリアの胸をかすめた。長らく会っていないけれど、昔と変わらず弟のように大事に思っているリシャールと別れるのはつらい。
しかし、コルネリアは(リシャールの幸せのためよ)と、己の甘さを叱るのだった。
「ねえ、サーシャ。この話はおしまいにしましょう。この城の主人を迎える準備をしなくてはね。可愛いリシャール坊やがせっかく帰ってくるんだもの」
コルネリアは、胸の中の寂しさを追い払うように立ち上がる。何か気がかりなことがあった時は、実務的な仕事をして気を紛らわせるのが彼女のいつものやり方だった。
現に、この城の主を迎えるためにいくつか最終確認をしなければならないことがある。サーシャの手を借りて着替え終わった今、ぼんやりしている暇はない。