スイート×トキシック
*
翌朝、言われるがままにお風呂に入って、それから朝食を済ませた。
以前のように髪を乾かして貰い、部屋へ戻ってくる。
(何なの……?)
どういうつもりなのかまったく意図が読めない。
何をする気なんだろう?
困惑したまま床に座って彼を待っていると、勢いよくドアが開いた。
眩しいほど爽やかな笑顔だ。
「芽依、服脱いで」
「へ……っ!?」
あまりに予想外の言葉に素っ頓狂な声が出た。
言われたことを頭の中で反復して、肝と背筋が冷える。
「な、何言ってるの? 絶対に嫌!」
今までどんな暴力やひどい扱いをしても、そういう要求は一切しなかったくせに。
心臓がばくばくと激しく鳴った。
力ずくで押さえ込まれたら、さすがに自分を守りきれない。
急に怖くなってきた。……どうしよう。
動揺して指先が震え出す。
しかし十和くんは変わらず穏やかな調子で言った。
「そうじゃないって」
(……そうじゃない?)
戸惑うように見れば、彼は後ろ手に隠していた何かを掲げる。
「?」
淡い色合いの花柄ワンピースだった。
丈が長めでティアードになっているから、まるでドレスのようだ。
「そろそろ着替えた方がいいでしょ。これ着ていいよ」
「えっ、と……」
思わぬ展開に置いてけぼりにされる。
けれど彼は自分のペースを崩さないまま、わたしの拘束を解いた。
「俺はドア閉めて待ってるからさ。終わったら声かけてよ」
その言葉通り、すぐにドアが閉められた。
わたしはそれと渡された服を見比べ、おずおずと立ち上がる。
(確かに着替えた方がいい……よね)
ここへ連れてこられてからずっと拒んできたから、未だにあの日と同じ制服姿だった。
度重なる暴力のせいで染みた血が変色し、掴まれたブラウスはしわになっている。
においも気になるし、傷のためにも清潔な服に着替えるべきだろう。
でも、十和くんの用意したものだ。
何となく不信感が拭えず、気が進まない。
そんなことを考えながら、ふわりとワンピースを広げてみた。
(あれ? 待って、これって────)
以前、どこかで見た気がする。
翌朝、言われるがままにお風呂に入って、それから朝食を済ませた。
以前のように髪を乾かして貰い、部屋へ戻ってくる。
(何なの……?)
どういうつもりなのかまったく意図が読めない。
何をする気なんだろう?
困惑したまま床に座って彼を待っていると、勢いよくドアが開いた。
眩しいほど爽やかな笑顔だ。
「芽依、服脱いで」
「へ……っ!?」
あまりに予想外の言葉に素っ頓狂な声が出た。
言われたことを頭の中で反復して、肝と背筋が冷える。
「な、何言ってるの? 絶対に嫌!」
今までどんな暴力やひどい扱いをしても、そういう要求は一切しなかったくせに。
心臓がばくばくと激しく鳴った。
力ずくで押さえ込まれたら、さすがに自分を守りきれない。
急に怖くなってきた。……どうしよう。
動揺して指先が震え出す。
しかし十和くんは変わらず穏やかな調子で言った。
「そうじゃないって」
(……そうじゃない?)
戸惑うように見れば、彼は後ろ手に隠していた何かを掲げる。
「?」
淡い色合いの花柄ワンピースだった。
丈が長めでティアードになっているから、まるでドレスのようだ。
「そろそろ着替えた方がいいでしょ。これ着ていいよ」
「えっ、と……」
思わぬ展開に置いてけぼりにされる。
けれど彼は自分のペースを崩さないまま、わたしの拘束を解いた。
「俺はドア閉めて待ってるからさ。終わったら声かけてよ」
その言葉通り、すぐにドアが閉められた。
わたしはそれと渡された服を見比べ、おずおずと立ち上がる。
(確かに着替えた方がいい……よね)
ここへ連れてこられてからずっと拒んできたから、未だにあの日と同じ制服姿だった。
度重なる暴力のせいで染みた血が変色し、掴まれたブラウスはしわになっている。
においも気になるし、傷のためにも清潔な服に着替えるべきだろう。
でも、十和くんの用意したものだ。
何となく不信感が拭えず、気が進まない。
そんなことを考えながら、ふわりとワンピースを広げてみた。
(あれ? 待って、これって────)
以前、どこかで見た気がする。