四月のきみが笑うから。
春霞
昔から人よりも考えすぎで。
人よりも思い詰めやすくて。
どうして自分はこんなにだめなんだろうって、毎日のように思っていた。
特別じゃなくてもいいから、普通になりたい。
誰からも好かれなくていいから、誰からも嫌われたくない。
息苦しい。もう、消えてしまいたい。
そう願えば願うほど、自分が惨めで仕方がなくなる。
『辛いのはみんな同じなんだから』
そんなのわかってる。
でも、違うの。
気づいて、助けて。
心の中で叫べば叫ぶほどに。
廃れて、壊れて、崩れていく。
『瑠胡は普通じゃないよ。少なくとも俺からみたら』
『そんなつまらねえこと言うな』
『こっちこい、瑠胡。俺は瑠胡を必要としてる』
そんなわたしを救ってくれたのは、駅のホームで出会ったあなたでした。
あなたはいつだって明るくて優しくて、太陽のような人だった。
あなたと一緒にいるときだけは、悩みを忘れることができた。
……あなたはいつも笑っていた。
きっと抱えるものなどないのだろうと、そんな錯覚をしてしまうほどに。
『もう俺、だめだ……』
『こわいんだ……自分で決めたくせにこわいんだよ、俺』
わたしは気付けていなかった。
人には見えないところで、あなたが誰よりも涙を流していたこと。
頑張らなくていいよ。
頑張って。
正反対のわたしたちが互いに送る正反対の言葉は、二人を支える何よりの力となる。
『笑って、特別なひと』
わたしはあなたの
笑顔がみたい。
俺は きみの
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