四月のきみが笑うから。

 ぼんやりと空を眺める。

 灰色の雲が近づいてきているということは、もうすぐ雨が降るのだろうか。


 きっと雨も素敵なんだろうな。雨音を聴きながら夜勉強するのもいいかもしれない。



 そんなふうに思えるようになったのは、好きな人のおかげ。

 わたしに『生きたい』と思わせてくれた、特別な人だ。



 先輩との出会いと一緒に過ごしたことは過去の思い出にして、わたしは強い自分になりたい。

 先輩がいなくても前を向けるような、そんな人に。



 先輩と出会ったことは、やはり間違いではなかったのだ。

 こんなにも自分を変えてくれる、必要不可欠な出会いだったと、そんなふうに思っても許されるだろう。


 雲の隙間から差す光が、たったひとつの希望のように見えた。


 そして、わたしがこれからするべきことを伝えてくれているような、そんな気がした。

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