四月のきみが笑うから。
すれ違うたび、男子たちが「古園さんだ」「やっぱ可愛いな」などと耳打ち合っている声がばっちりと聞こえてくる。
以前であれば、自分との違いに落ち込んで、へこんで、病んでいただろう。
となりを歩きたくないとか、そんな最低なことを思っていたかもしれない。
だけど今は、違う。
たとえたくさんの人がわたしを見てくれなくても、たった一人だけがわたしを見て、必要としてくれればそれでいい。
先輩のいちばんでいられたら、他者からの目など関係ない。そう思えるようになった。
「緋夏ちゃん!」
「待ってたよ」
たたっと緋夏のもとへと駆け寄る琴亜ちゃん。
二人の仲も良好そうで、本当によかったと息を吐くばかりだ。
「じゃあ向かいますか」
「はーい!」
きゃはっとした、明るいけれど騒がしすぎない雰囲気が広がる。
いかにも女子高生のような、キラキラとした空気感に包まれながら、わたしたちはクレープ屋へと向かったのだった。