四月のきみが笑うから。
「……っ」
何度呼吸をしても息苦しくて、鞄を掴んでそのまま教室を飛びだす。
じわりと涙の膜が張り、それは水滴の形になって落ちてしまった。赤い目のまま廊下を走って昇降口へと向かう。
すれ違った何人かが驚いたようにわたしを見ていたけれど、止まらなかった。
(もう高校生なのに、恥ずかしい)
わたしはどうしてこうも弱いのか。
ちょっとしたことで涙が出てしまうのか。
我慢しようとすればするほど、脳内の自分が自分を貶すのだ。
役立たず。無能。要領が悪い。生きる価値なし。
そんな言葉が渦巻くから、自己嫌悪に陥って泣いてしまう。一度始まった負のループは止まらない。
自分で自分の首を絞め、苦しめてしまう。