四月のきみが笑うから。

 今日は最悪な日。

 今日の楽しかったところをあげようとしても、何ひとつ思い浮かばない。この瞬間わたしは心から笑えていた、と。そんなふうに思える時間が一秒もなかった。


 それならせめて、一日の終わりに。彼と話す時間があってもいいのではないか。


 わたしにとってそれは、つまらない毎日の中で唯一の楽しみなのだから────。



「先輩!!」


 雨に濡れてぐしゃぐしゃの状態のままホームに飛び込む。全身が濡れ、見ていられないほど悲惨で恥じるべき格好だったとしても構わなかった。ただ一秒でもはやく彼の姿をこの目で見たかった。

 できるだけはやく今日のことを話したくて、乱れる呼吸のまま前を見据える。


 少しでもいい。
 一瞬だったとしても構わない。


 彼の顔を見て会話することができたら、それだけで十分だった。
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