四月のきみが笑うから。
「……会いたい」
笑顔がみたい。
一日の疲れや不満がすべて吹っ飛んでしまうような、あの笑顔をわたしに向けてほしい。
恋をするということは、強欲な自分を生み出してしまうことでもあるのだと。やり場のない想いを、ぎゅっと胸の前で抱きしめる。
ブルーモーメントを見たら離れよう、なんて。
そんな甘い考えが通用しないほど、自分の気持ちが大きくなっていることに、わたしはまだ気づいていなかった。
想いを馳せている彼がこの時、どこにも逃げ出せない葛藤に苦しめられていたことにすら、わたしは気づけていなかったのだ────。