腹黒王子の甘い寵愛。
「ねぇ、そこの子」

「な、なんですか?」

「キミの方が可愛いね」

「え……?」


キミって、私?

そんなわけない、だって今あなたの目の前にはとびっきりの美人がいるのだから。


「綺麗な顔。神様が丁寧に作ったみたいだ」


無気力に私の方に寄ってきて、頬を撫でられる。


「あ、あの……」


後退りしようとすると、誰かにぶつかった。

そしてそのままお腹に手を回される。


「お前は……相変わらずだな綾野」

「んー?この子さくちゃの彼女?」

「そう——」

「ちがいます!!」


2人と一気に距離を取った。

案の定……私の後ろにいたのは朔くんだった。


「彼女だけど問題あるか?」

「ずいぶんとかわいー子だね、俺も欲しいな」

「お前は本当面食いだよな……」

「さくちゃだってそうじゃん」

「俺は瑠奈の全てが好きなんだよ」


さりげなく吐かれる愛のセリフにびっくりしながらも、この無気力な人と朔くんの関係が気になって仕方がない。

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