腹黒王子の甘い寵愛。
「バイバイ可愛い子、いや瑠奈ちゃん。またね」


ふぁーとあくびしながら手を振った綾野さんは寮の方へと行ってしまった。


よくよく考えてみれば昼間から何をしてたのだろうあの人たちは……。

はぁと呆れていると、朔くんに頬を叩かれる。


「瑠奈、触られたよね?消毒しよっか」

「えっ?」

「ほっぺ、俺が上から撫でたとはいえ許せないから」

「う、うん……?」


すると朔くんに左側の頬を包まれて、右側の頬にちゅっと甘いキスを落とされてしまった。

私はドキドキで、下を見ることしかできなくなる。


「あ、あのっ……」

「恥ずかしがってる瑠奈も可愛いね」


今度はポンポンと頭を撫でられる。


どうして、朔くんはそんなに余裕そうなのっ……?

ずるい、よ……。


いくらからかわれてるだけとはわかっても、こんなの……たまんない。


変な感情が湧き上がってきて、胸がいっぱいになる。


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