腹黒王子の甘い寵愛。
心配になって、心臓の音が大きくなっていく。

バクバク言っていて、私、ここまで朔くんのことが好きだったんだと驚きもした。


「瑠奈がちゃんと俺のこと、好きでいてくれるならね」

「うん、いる……!!」

「本当?」

「本当」

「じゃあ今ここで、僕にキスして?」

「……えっ?」


ポカンとしてしまった。朔くんは自分の薄くて綺麗な唇を指す。


女の子たちはそれが何を示しているのかわかったのか、顔を真っ赤にしながら下唇を噛み締めていた。


「そ、それはっ……」

「付き合ったんだから、このぐらい当然だよね?」

「そ、そうかもしれないけどっ……」


恥ずか、しい……。


そして私はとてもいいことを思いついた。


「朔くんのキス顔、他の女の子に見られたくないから……2人っきりの時じゃ、だめ……?」

「んぐっ……か、かしこまりました」


目を瞑って頬を赤ながら、朔くんが素直にそう言ってくれた。

“とらあえず”一安心をして、私たちは寮へと戻ることになった。

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