腹黒王子の甘い寵愛。
帰り道、トボトボと歩いている私。理由は多分、桐谷くんへの罪悪感だった。


「瑠奈?何かにしてるの?」

「な、なんでもないよっ……?」


朔くんにこんなこと言ったら……今度は退学どころじゃすまない。


「なぁに?言ってごらん?」


朔くんがにっこり微笑んで今はまだ私に優しくそう問いかけてくれる。

私は、朔くんの弱みになってしまったかもしれない……。

こういうの、女の勘って言うのかなぁ?


ぎゅっと朔くんの手を握りしめる。


朔くんを見つめると、頬を赤らめてそっぽ向いてしまった。

これで答えなくても済みそうだと一安心する。


もちろん、人と会うことなんてなく寮の部屋に入った。

部屋に入るやいなや、朔くんの雰囲気がガラッと変わり、またキスをせがまれるのかと思いきや、そうではなかったようで。


朔くんはキャパオーバーだったのか、倒れてしまった。


どうにかそんな朔くんをソファに寝かせて、そばに座っている中、一応正式な人生初彼氏ができたことを親友2人に知らせることにした。


美波ちゃんと萌ちゃんと私の、3人グループのメールでお知らせをする。

【私、朔くんと付き合うことになっちゃった】


そう言うとものの数秒で、返事が返ってきたのだ。


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