腹黒王子の甘い寵愛。
「あ、あのそれでね、そろそろ名前呼び、してみたいなぁって思って……」

「名前呼び……うん、いいよ。瑠奈、でいい?」

「!うん!」


ぱあっと笑みを浮かべた彼女にまた心奪われて、その度に黒い感情が増えていく。

連絡先を交換してからと言うもの、まだ出かけたことはないがマメにメールをしていた。


桜井……いや、瑠奈の好きなものなどを聞き出したり、僕のことを教えたり。


少しずつ、確実に親密な関係を築いて行った。


「えへへ、朔くん」

「ふふっ、なぁに?」


その笑い方、可愛すぎてもうしんどい。


「あのね、今度——」

「ねぇ、なんか人の声しない?」


愛らしい瑠奈が何か喋ろうとした瞬間、ノイズが入った。


「だ、誰か来る……!!」


瑠奈がそういうと、察知した野良猫たちはどこかへと去って行ってしまった。

僕も面倒なことになるのは嫌なので、瑠奈の手を引く。


「こっち」

「えっ?」


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