腹黒王子の甘い寵愛。
細くて華奢な手首をそっと握りしめて、近くにある物置き場の中に入った。


「……せ、狭いねここ」

「ごめん、ちょっとだけ我慢して」

「う、うん。朔くんは嫌じゃない?」

「嫌なわけないよ」


こんなにくっついた状態で上目遣いされて……桜井瑠奈相手に理性を保てる男は、いや人類は僕ぐらいだろう……。


「ごめん。あんま動かないでくれる?」

「えっ?」

「瑠奈、僕に密着しすぎだから」

「ええっ、ご、ごめん!」

「謝んないで。でも、動かない方がいい」

「わかった!」


本当可愛いな……。

このままずっとここにいて、知らない間に2人で心中したいぐらいだ。

……流石にそれは冗談だけど。


にしても……だめだな、このままだとバランス崩す。


「言っといてなんだけど、ごめん」

「えっ?わっ」


ぎゅっと瑠奈を抱きしめた。


「倒そうになるから、このままでも平気?」

「う、うう、うんっ……」



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