腹黒王子の甘い寵愛。
「ゆ、結都様……!?」


結都、様?

この人は……何回か見たことがある。生徒副会長の、秋山さんだ。

面識はないものの、結構有名な人だ。


「あの、ごめんなさい!!」

「でもこの子が!!」

「そうなんです!!」


3人が秋山さんに必死に何かを訴えかける。


う、嘘……!もしかして、私が敵にされちゃう……!?

心配して冷や汗が出そうになると、秋山さんがはぁと呆れたようにため息をついた。


「全て見ていた。これはお前たちが全面的に悪いだろ」

「っ……!!もういい!!」


バッと手を振り払って、3人組は言ってしまった。


「あ、あの……ありがとうございました……!!」

「お前も大変だな、変なヤツに好かれるしあんなヤツらにいじめられるし」

「あはは……」


変なヤツって、朔くんのこと?


もしかして結構仲良かったりするのかな?この人と朔くん。

ならなんだか安心だ。本当に私しか友達いなかったら、とちょっぴり心配していたから。


あとは……どうしてこの人は、女子寮にいたのだろう……?


ついジーッと見つめて仕舞えば、何かに気がついたように結都さんが口を開く。


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