腹黒王子の甘い寵愛。
こんなに美しい人、存在するんだって……。


「あ、ああっ……あの、えと……」


後ろを向いてしまったその人。

どうやら去ろうとしているらしく、つい必死にその腕を掴んで阻止してしまった。

え、えっと……ど、どうしよう……!


「触るな!!」


パシッと振り払われるも、それどころじゃない。


「あっ、ご、ごめんなさい……!え、えっと……ね、猫ちゃんたちのこと、知ってるんですか……!?」

「は……?」


ジーッとその人を見つめる。


「知ってたらなんだ」

「う、嬉しくて……!可愛いですよね、この子たち」


にゃーと鳴いている猫ちゃんたち。


「それは否定しない。僕はもう行く」

「ま、待ってください……!あ、あの、邪魔しちゃってごめんなさい……!よければもっと触っていってあげてください……!!」

「いやいい。僕に関わらないでくれ」

「そ、そんなつもりはなくて、ただ本当に猫ちゃんたちのために……」


私が追い出しちゃったようなものだからな……。


「……わかった。猫のためにここにいるからな、お前のためじゃない」

「そんなの当然です!」


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