腹黒王子の甘い寵愛。
その人はしゃがみ込んで、再び猫を撫で出した。

名前……なんて言うんだろう?

猫、好きなのかなぁ?


気になって頭がぐるぐるしてくる。


「……お前、僕が怖くないのか?」


考えていると、声をかけられる。


「こ、怖い……?全然怖くないですよ?」

「……そうか」

「はい」


怖いって、なんだろう?


うーんとさらに考え込むと、また話しかけられる。


「桜井瑠奈、だよな」

「へっ?ど、どうして私の名前……」

「僕は東峰朔だ。聞いたことぐらい、あるだろ」

「あ、東峰朔さん……。え!?あ、あなたが!?」


あの冷徹で無慈悲というか、残酷と言われていた人がこの人だと知った時は、驚きが絶えなかった。


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