腹黒王子の甘い寵愛。
「あんな会長、本当見たことない」

「怖いからもう行こう……」


ゾロゾロと帰って行く生徒会メンバーたち。

邪魔しちゃいけないと去って行く瑠奈の友達。


そして……。


「なんでお前はまだいるんだよ、結都」

「だからー用があったんだよ。わざわざみんなで来てやったのに、帰っちゃったじゃないか」

「空気を読め」

「そんなの関係ないね」


全く……コイツってヤツは……。


はぁと大きなため息をつく。


「なんだよ」

「文化祭のことなんだが」

「後ででいいだろ」


腕の中にいる瑠奈が、どうしたらいいのかわからないのか、慌てながらこちらを見つめる。


そんな姿がまた可愛くて仕方がなくて、頭をそっと撫でた。


「よくないんだよ、お前最近サボりすぎ」

「さ、朔くんおサボりはよくないよ?とにかく私を離し——」

「ごめんごめん、でも瑠奈ともっと一緒にいたくてさ」

「そ、そうなんだね、だけど、とりあえず離して欲しいな」


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