腹黒王子の甘い寵愛。
「それで話って何だよ」

「ああ、文化祭のこともなんだが、俺……婚約者を決めろって言われた」

「そんなことかよ」


はぁ……とまた大きなため息を溢す。

お前の婚約者のことなんぞ知らねぇよと思いながらも……婚約者、か。


もちろん僕は瑠奈しかいない。

早く付き合って、婚約の手続きを完了させなくては。



「それでさぁ……相手が誰だと思う?」

「誰って、金持ちの令嬢だろ?」

「ちがうんだよ。俺知らなかったんだけどさ。桜井瑠奈と、幼なじみだったらしいんだ」

「…………は?」


長い沈黙が続く。


瑠奈と、幼なじみだと?そんな羨ましいことあってたまるか。


ドクドクと心臓が嫌な音を立て出す。


まさか、そんなこと……あるわけないよな?


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