腹黒王子の甘い寵愛。
その瞬間……悪寒がした。


もしかして……瑠奈のことが、気になってるのか……?

いや、あり得ないよなぁ?だって、お前も女嫌いだろ?


「ははっ……まさかな」

「そのまさかって言ったらどうする……?」

「消す」


あり得ないだろ……こんなこと、あるか普通。


しかもコイツと瑠奈の接触はせいぜい2回程度。

そんな少ない回数で好きになられちゃ、瑠奈も困るだろ……。


「……そうか。まぁ俺も頼んでみるよ」

「ああ」


本当に頼むかは定かではないけれど……とりあえず、瑠奈にも言っておかないと。


僕以外は許さないって。



「瑠奈は知ってるのか?」

「いやまだ知らない」

「そうか」


昼休みになったらちゃんと話してみよう。


「……もう戻る」

「わかった」


嫌気がさして、屋上を出た。


向かったのは教室ではなく生徒会室だった。


シーンと静まった部屋で1人、椅子に座る。

憂鬱感で身体が押し潰されそうになりながら、机にうつ伏せた。


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