新月に薔薇は枯れる(The rose dies at the new moon)ー柊くんはヴァンパイア
俺は教室の窓から黒板消しをパンパンと叩きながら、下を見下ろしていた。

「あっ……」

霞月の姿を見つけ、手を止めた。

「おい、まただぜ。柊がコクられてる」

男子生徒のひと声に、バタバタと学生が窓際に集まり、下を見下ろした。

「あれはチアリーダー部の部長か?」

「今日も記録更新?」

霞月はまたしても生徒たちの期待どおり、告白を断り握手して別れた。

「すげェな」

俺が再び黒板消しをはたき始めると同時に、生徒たちも窓辺を離れた。

が、告白をしたチアリーダー部の部長が崩れるように座りこんだ。

「えっ!」

「もうすぐチャイム鳴るわよ」

俺に女子生徒が声をかける。

「あいつ-ー」と俺が指さした先。

チアリーダー部の部長はスッと立ち上がったかと思うと、ふらつきながら歩き出した。

「あいつ、様子がおかしい」

「そう言えば前に告白した人も彼と別れた後、ふらつきながら歩いてた気がするけど」
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