新月に薔薇は枯れる(The rose dies at the new moon)ー柊くんはヴァンパイア
それに、椿。

いつもおどおどしている椿が、今日もおどおどしながら生徒会室で過ごすと思うと、何とか策があればと思った。

「ガンちゃん、『薔薇事件、解決』しない? 生徒会で」

俺が生徒会室の前に立つと、後ろから霞月の声がした。

「……霞月」

一瞬、驚いて生徒会室の鍵を落としそうになったが、気を取り直し、鍵を開けた。

ビビったのを気づかれていないよなと思いながら中に入り、訊ねる。

「薔薇事件って、新月に薔薇が枯れているという」

「そう。監視カメラにも映らず、薔薇を枯らしていく犯人。面白そうだろ」

俺たちが話していると、椿がそーっと戸を開け遠慮がちに入ってきた。

「こんにちは」

その声は明らかにわかるほど震えていた。

「あっ 椿、良いところに来た。今さ、薔薇事件の犯人捜しをしようと話していたんだ」

「だ、だ大丈夫なんですか」

「何が? 椿、顔が強張ってるよ」
< 12 / 75 >

この作品をシェア

pagetop