新月に薔薇は枯れる(The rose dies at the new moon)ー柊くんはヴァンパイア
「4種類のどの方法も、噂どおりの状態にはできない。1晩で薔薇を枯らすことができないからな」

俺たち生徒会員は、各々なるほど頷いた。

「部外者、つまり園芸部が何らかのトリックで薔薇を枯らしている。あるいは、そう見せ掛けているとしたら?」

霞月の問いかけに首をひねり、想像してみるものの何も浮かばない。

「温室の鍵は園芸部員と園芸部顧問が所持していて、作業が終わると必ず鍵を閉める。部外者は園芸部が鍵を開けている時しか、中に入れない」

「1晩で薔薇を枯らすのは無理、園芸部しか自由に出入りできない。それって、摘みじゃない」

「そう、摘みだ。普通に考えたら不可能だ。だから、意図的に噂を流し、フェイク画像を作っている奴がいるのでは」

「マジか。でも、何故そんな」

副会長が身を乗り出した。

「さあな。イカれているからでは?」

霞月の顔は穏やかなのに、その瞳は冷ややかだった。
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