新月に薔薇は枯れる(The rose dies at the new moon)ー柊くんはヴァンパイア
羨ましいくらいキレイな腹筋だ。
「のぼせ上がりそうね、この暑さ」
会計係が扇風機の風力ボタンを中から強に切り替えた。
風力が増しても生温い風には変わりない。
「ガンちゃん、今日は解散しない?」
ガンちゃんは数秒、俺の様子を観察し「そうだな。明日、園芸部を訪ねて枯れた薔薇を見た奴を捜そうか」
カップの片付けをし、生徒会室を出るとガンちゃんが、俺の耳元で呟いた。
「薬、また飲んでないだろ」
「飲ん……だ」
しっかり答えたつもりだったが、喉から出た声は何故か掠れていた。
視界がゆっくりと傾いていく。
窓の外で降っている雨音、誰かが呼んでいる声も何処か遠い。
誰かの手がギュッと、俺の肩を掴んだ。
スーッと体から力が抜けていく。
ふわりと嗅ぎなれない香りがした。
気づいたのは保健室のベッドの上だった。
電灯の明かりが眩しかった。
「のぼせ上がりそうね、この暑さ」
会計係が扇風機の風力ボタンを中から強に切り替えた。
風力が増しても生温い風には変わりない。
「ガンちゃん、今日は解散しない?」
ガンちゃんは数秒、俺の様子を観察し「そうだな。明日、園芸部を訪ねて枯れた薔薇を見た奴を捜そうか」
カップの片付けをし、生徒会室を出るとガンちゃんが、俺の耳元で呟いた。
「薬、また飲んでないだろ」
「飲ん……だ」
しっかり答えたつもりだったが、喉から出た声は何故か掠れていた。
視界がゆっくりと傾いていく。
窓の外で降っている雨音、誰かが呼んでいる声も何処か遠い。
誰かの手がギュッと、俺の肩を掴んだ。
スーッと体から力が抜けていく。
ふわりと嗅ぎなれない香りがした。
気づいたのは保健室のベッドの上だった。
電灯の明かりが眩しかった。