新月に薔薇は枯れる(The rose dies at the new moon)ー柊くんはヴァンパイア
椿は、わたしが勝手に残ったのにと遠慮したが強引に乗ってもらった。
「お前はさ、具合悪いのになんで言わないんだ? 倒れるまで何で」
ガンちゃんが低い声で俺をなじる。
「……今は聞きたくない」
椿が時々、後部座席を振り返った。
知られたくないと思った。
何も知られたくないと思った。
自分がどう噂されているのかは知っているのに、椿には何も知られたくないと思った。
「お前はさ、具合悪いのになんで言わないんだ? 倒れるまで何で」
ガンちゃんが低い声で俺をなじる。
「……今は聞きたくない」
椿が時々、後部座席を振り返った。
知られたくないと思った。
何も知られたくないと思った。
自分がどう噂されているのかは知っているのに、椿には何も知られたくないと思った。