新月に薔薇は枯れる(The rose dies at the new moon)ー柊くんはヴァンパイア
「柊、またコクられてるぞ」

声のした方を振り返ると、鈴なりの男子と言わず女子と言わず、学生たちが窓辺から興味津々、見下ろしていた。

「OKすると思うか?」

「いや、記録更新だぜ。きっと」

「何勝目?」

「さあな。30越えた辺りから数えてない」

断った後、握手して何事もなかったように別れると言う。

「何で毎回、握手するんだ? 友だちでということか」

「『銀髪の君』女子たちの間では、そう呼んでいるんだろ?」

「温室の薔薇、あいつがやったんじゃないかっていう噂もあるみたいだし」

「ヴァンパイアかよ?」

彼、柊霞月は女生徒と別れた後、微かに笑った気がした。
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