新月に薔薇は枯れる(The rose dies at the new moon)ー柊くんはヴァンパイア
2 椿side-ーRose  tea
生徒会室はテラスハウスの3階にある。

生徒会ではひと息つく時に、いつもローズティーを淹れる。

わたしは上品で優雅な甘い薫りが、心地よくて好きだ。

昨年の秋から生徒会の書記をしている。

生徒会長が柊くんを連れてきたのは、6月の中旬だった。

「霞月、ローズティー淹れて。お前、淹れるの上手いだろ」

「連れてきて早々、人使い粗くない?」

「まあまあ。椿、手伝ってやって」

生徒会長と柊くん。

彼らの短いやり取りで、2人が親しい間柄だと解る。

トレーに人数分5個のカップを並べて、ポットの水を沸かす。

ティーポットと茶筒を出すと、柊くんは茶筒を手に取り、サッと開けた。

数秒、茶葉の薫りを見定めるようにスーッと吸い込む。

「良い茶葉使ってるんだな」

ポツリ言うと、ポットのスイッチを切り、ティーポットにお湯を注いだ。
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