新月に薔薇は枯れる(The rose dies at the new moon)ー柊くんはヴァンパイア
いつも真面目だなと思った。

そう、あの真面目さがいいんだと納得する。

「なあ。最近、地味子が明るくなったと思わないか」

「お前もそう思う? なんか、キレイになったよな」

教室に戻ると、男子たちが体操服に着替えながら話していた。

「この間。柊を訊ねてきた時、ドキッとしたんだよな」

こいつら、まだ椿を地味子と呼んでいるのかと思うと苛っとした。

「誰が地味子だって」

聞こえるように言ってやる。

「あっ、いや、その……」

男子たちが慌てて着替え、教室を出ていくさまが可笑しかった。

先日、「地味子と呼ぶな」と怒鳴ったことがよほど効いているのだろう。

体育館。

男子が群れると暑苦しく感じるのは、いつものことだと思う。

同じバスケットボールをプレイしていながら、男子は躍動感、女子は華やかさ、感じ方が違う。
< 70 / 75 >

この作品をシェア

pagetop