新月に薔薇は枯れる(The rose dies at the new moon)ー柊くんはヴァンパイア
椿には観られたくない様子を見られたなと思う。

「大袈裟なんだよ、カッコ悪いだろ」

ポツリと言葉が漏れた。

放課後、テラスハウス前。

此処は温室とテラスハウスが影を作り、直射日光が当たらない。

何より良いのは、飲み物の自動販売機が隣接で設置されている。

「柊さん、すみません。職員室にノート提出があって、遅くなりました」

椿は急いで走ってきたのだろう。

額に汗を滲ませていた。

「椿、どれがいい?」

自動販売機にコインを入れて、椿に訊ねた。

「えーと……アクアス」

椿はスポーツドリンクの名前を言いながら、俺を見た。

「ありがとうございます」

よほど暑いのかスポーツドリンクを取り出すと、蓋を開けてゴクゴクと、喉を鳴らした。

「体育の授業、大丈夫でしたか?」

「ああ」

イヤなことを思い出させる。

椿を待っている間、実は園芸部の部長と話していた。
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