新月に薔薇は枯れる(The rose dies at the new moon)ー柊くんはヴァンパイア
3 岩館side 探偵社生徒会
「霞月。薬は飲んだのか? ちゃんと飲まなきゃ倒れるぞ」

俺は顔色の悪い霞月を気にして、険しい口調で言った。

飲んでいないだろうと疑いの目を向ける。

「わかってる」

霞月は俺に睨まれながら、学生鞄をゴソゴソ探った。

薬袋から取り出したのは、血の色のような1円玉くらいの赤いタブレット錠剤。

霞月はそれを3粒、口に入れ、水筒の水で流し込んだ。

「オエッ」

舌を出し、目を細めて不味いと訴える顔が、小さな子どものようだ。

「お前はホント、薬嫌いだよな」

「こんな不味いの、1日4回も。ガンちゃんはどれだけ不味いか知らないから」

「愚痴を言わない」

テラスハウス側、飲み物の自動販売機前。

俺は足を止め、コインを投入した。

「好きなの選べ」

霞月はパッと目を輝かせて、果汁入りの炭酸水を選んだ。

「冷たい!」

ペットボトルを首筋に押し当てる。
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