冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
頬を冷ましていた両手に飛鳥馬様のものが添えられて、わたしの両手は頬を冷ます効力を瞬時に失ってしまったようにして熱く火照った。
飛鳥馬様によって前を向かされたせいで、わたしはまた彫刻よりも美しいお顔を目にしてしまう。
神様が利き手で丁寧に丁寧に、数え切れないくらい膨大な時間をかけて作り上げた芸術品のように、浮世離れした現実味のないそのお顔。
「……っ、や、その…」
「顔真っ赤だけど、もしかして熱あるの?」
両眉を下げて、心配そうにわたしの顔を覗う飛鳥馬様。
心配なんて……、そんなわけないのに。
「ね、熱はありません……っ」
「そっか……、よかった」
「……!?」
よ、よかった……って、なにが。
まさか、わたしが熱がないと言ったことに対しての言葉じゃあるまいし……。
飛鳥馬様のお口から発せられる理解不能の言葉に込められた意味を探ろうと頭の中で考えあぐねていると、