冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
皇神居の敷地内には、大きな日本庭園が荘厳な雰囲気を残して存在していた。
何十年もの歴史がある組織なのだ、霜蘭花は。
そよそよと流れる透き通った川に架かる、立派な橋。
青く生い茂る勢いのある松の木。
その中には池もあったりして、遠くから見つめる程度だったけれど、そこには真紅色の鯉が優雅に泳いでいる様子が見て取れた。
永遠に続くと思われた長い長い石畳の道は、急に終わりを告げる。
皇神居の建物の前にも、それを厳重に警備する飛鳥馬様に仕える配下の人間たちが数え切れぬほどいた。
「お帰りなさいませ、飛鳥馬様」
胸に手を添え、恭しくお辞儀をする配下の人間たち。
飛鳥馬様はきっと、この中にいる誰からも慕われて、好かれている。
そうでないと、まるで真っ暗闇の中ただ1つ輝く一等星を見るような瞳をして、飛鳥馬様のことを見つめたりなんかしないもの。
「いつもご苦労さま」