冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
分かりやすく言えば、まるで世界的な美術館にでも来た気分。
だけど、わたしの目に映った光景をそのままの言葉で言い表すのなら、
それはそれは一言では言い難い神聖な雰囲気と、大きすぎるものに対しての畏怖の感情がわたしの心を魅了していた。
飛鳥馬様が皇神居に足を踏み入れ、どこかの外国の舞踏会を開催出来そうなほどのだだっ広い空間の中心に歩いて行く。
中の造りはドーム型状になっており、何十階も先までが吹き抜けになっていた。
わたしが今いる1階から天井を見上げると、360度全部に大きな窓が取り付けられていて、そこから光り輝くほどの月明かりが建物の中に差し込んでいる。
明かりをつけているのは1階だけだから、その上の階の闇に舞う小さなホコリたちが月明かりに照らされて、キラキラと白銀に煌めいていた。
「……すごい」
現実に存在し得ないほどに圧倒的な美しい光景に、思わず目を奪われる。