冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない。
まだシャー芯あったかな……、と思いながら机の引き出しを開け、その袋がないかと確認するが、またも撃沈。
「…一袋もない」
最悪だ……、よりによってなんで今…っ!
外はもうすっかりと日が沈み、明るかった太陽の街は闇夜の暗く危ない街へと変わり果ててしまったというのに。
明日も学校あるし、今もまだもうちょっとだけ勉強したいし……、うぅ、どうしよう!?
外に出るのは危険すぎる……、飢えた狼という名のガラの悪い不良たちに襲われてしまうかもしれない。
将又この街の支配者である霜蘭花の幹部とかいう怖い人たちに存在ごと消されてしまうかも……っ。
ましてや皇帝本人に直々に殺されてしまうのでは……?
シャー芯を買いに行きたいという気持ちと夜の世界に出てしまった時の不安な気持ちがぐらぐらと天秤の上で揺れる。
……ううっ、本当に怖いけれど、恐ろしいけれど、これはもう一か八かで行ってみるしかない!
夜の街に勝手に足を踏み入れて殺されて死んでしまう不安は後から後から……っ!